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 ぼくらの共時性 

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パックリ・パウリ
by そらしま

錬金術絵画法による「アニマとシャドー06-01」

そらしま 2006年作

(偶然的手法を繰返し得られた上部の影なる横顔)

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そらしま 2006年作 

水面のぺルソナ破壊

. 物理学者ハイゼンベルグの18才からの親友、ウォルフガング・神憑かり・パウリ(1900〜

1958)は、ハイゼンベルグの新しい量子力学の樹立を「排他原理」によって補償している。

. ミュンヘン大学に入った時すでに二人はハイゼンベルグの研究の重要な部分に着手している。

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.  パウリはインテリにありがちな未熟なアニマのせいで、場末の三流ミュージッククラブ歌手

の女と結婚して、間もなく逃げられ、酒乱になって酒場でよく喧嘩騒ぎを起こし、その「人生の

ニグレド」の時期にお母さんを服毒自殺で亡くしている。さんざんドジったこの頃、パウリはユ

ングの患者になっている。

. ユングいわく

. 「彼は知的な活動ばかりを重んじる極めて偏った生き方をしてきたが、勿論あるいくつかの欲望や要求は持って

いた。しかし女性については彼はまったくついていなかった。なぜなら彼には感情を区分する事がまったくできなか

ったからだ。それで彼は女達を相手にすると直ちにばかげた行動をしてしまい、勿論女達からすれば彼はがまんのな

らない相手だったのだ。」

. ユングはパウリの臨床的治療を弟子に売り渡し、自分は少し客観的にパウリの日記などを研

究している。そこに有名なパウリの「世界時計」のイメージを見い出して、グノーシスや錬金術

との共通点、「宗教的にいえば一種の改心の原理」を見い出している。そこで今度は回復後にパ

ウリは恩返しのように、ユングの「共時性についての研究」を量子力学的に共同論文によって補

償した。「自然現象と心の構造(非因果的関連の原理)」である。ここでパウリは、つまりマン

ガ的に言えば、原子内というディスコホールの中には量子というダンスを踊る小僧らがいて、そ

いつらはダンスのスタイルによって二組の縄張りに分かれている。ナマコ(中間子)やミツコ

(光子)の規則正しい踊りを踊る「チーム・パラパラ」と、何をしでかすか分らない々しいヒ

ッピー(ニュートリノ)、オカマ(中性子)、ヨウコ(陽子)、デンコ(電子)などの骨抜き踊

りの「チーム・ブレーク・ダンス」のグレ組みである。とはいえ「ブレークダンス組」もデタラ

メなダンスとはいえ、となりの奴のダンスを気にしつつ、ぶつからないように自分のはまもり

つつ、ある距離をとってダンスする必要がある「離見の見」の頭はある、入ったら出られないア

ナーキーとしてのまとまりな奴らなのだ。

. パウリはこれを「排他原理」と名付けた。

. この「ディスコ・アトム」の後には「無」しか残らない巨大な集まりである僕らの物理的現実

世界も、つまりは「パラパラ組」に代表される規則正しい「こうすればああなる」的な因果律の

世界と、「不慮の事故」のような「まさか」の世界との二つを原型としていると言うのである。

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. 「まっ逆さまに落ちて行くのはディスコティックのデザイア(欲望)」だけでなく、僕らの乗

った尾翼崩壊した飛行機かも知れないのだ。「バチ」は必ず当たると言うものではなく、当たら

ない事もある事に、機体が落ちないで飛ぶ事に、何時も僕らは多大な期待を寄せるのだ。

. もう一方の「こうすればああなる」的な因果律の世界は、インド人が得意そうな「罰当たり的

発想」でもあり、実は「現代科学の原理」でもあるのだ。ゆえにシンクロニシティの概念は科学

的でないものを科学しようとする欲求に他ならない。科学に蹴りを入れる原理仮説なのだ。

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. 僕らが日常、体感できる「シンクロニシティ・共時性」は「夢で亀を見ていて、起きてTVを

つけたらが映っていた。」という一般によく体験されるものである。ユングはこの事に心理学

的に注目して、その解明(亀)の彼方に「神秘のメカニズム」の原理を探ろうとしている。

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. 今これを書いている時も、TVでは松田優作の行きつけのバーに残されたボトルの番号が命日

と対応していた話しをしている。誕生日と命日が同じ人は世界中で今も増え続けている(Many

people)

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. このように僕らの日常に頻繁の起こる「共時性」という「確立が低いのに多発するリアル」と

は一体何なのか?それをここでしばらく引っ張って考えてみたいのだ。

. パウリは生涯137という意味のない(137)数字に取付かれていたが、これは自然界の定数は

極端に小さいか巨大なのに対して1/137だけがフツーサイズである事で、パウリが死んだ病室

の部屋番号は137号であった。入院時にそれを見た時彼は、「自分は二度とここを出る事は無い

だろう。」と直感した。

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